Q.3Dプリンタについて教えて下さい。
芦沢:パソコン上で作ったデータから実際に3次元の形を作ってくれるのが3Dプリンタです。弊社は6台の3Dプリンタを導入しています。基本は大きい2台の3Dプリンタを使います。この2台はかなり高性能な3Dプリントができます。1台約1500万円位です。とてもていねいできれいな製品を作ってくれるので本番用です。ただその分時間がかかる。ですので形を見たいだけの時は小さくて簡易的な3Dプリンタを使っています。あまりきれいではないですけれど、すぐ形を作ってくれるので主に試作品の試作用といった形で使っています。プラスチックの樹脂を巻きとって、ヒーターの熱を溶かしながら一筆書きで作っていくタイプのものと、光を当てて硬めていくタイプの2種があります。3Dプリンタはそれぞれ作るスピードの違いや向き不向きあるので用途によって使い分けています。
それで実際に3Dプリントしたものがこの世界にひとつしかない試作版の白い『マガツキ』になります。パーツの別れ方からなにまで全部商品版の『マガツキ』と変わらないです。が、特殊な樹脂で作っているので普通のプラスチックを使っている商品よりも比重が重いです。
組み立てる過程も自分で行っていきます。そういったパーツを実際に組んでいけるか、というのも商品に反映されるので組み立て方や過程の検証も仕事になります。
3Dプリンタはデータを送ればその形をそのまま作ってくれます。が、下の方から作っていくのでバランスが悪いと自分の重さで倒れてしまう。そうならないために、弊社で使っているプリンターでは形を作る樹脂と一緒に蝋が出てきて支えてくれます。蝋は熱で溶けてくれるのでオーブンで溶かせば、欲しい部分だけが残るというシステムです。
Q.オリジナルブランドのプラモデルを作ったきっかけは。
野内:『M.S.G』シリーズを元々作っていまして、これはオリジナルというよりいわゆる改造パーツです。これだけでも楽しいけれど「こんなパーツがあったらもっとかっこよくなる」とか「こんな武器があったらもっと楽しくなる」とかそういう思いから作り始めたシリーズです。
それを10年ほど作って「『M.S.G』と組み合わせるロボットも考えてみよう」ということになり『フレームアームズ』ができました。同時にビークルや戦車、トレーラーも作りました。
芦沢:最初は武器しか作ってなかったんです。鉄砲などを最初は作ってたんですが、鉄砲だけだとつまらないということになりました。
野内:それが初めですね。ここから車になって、順調にロボットになっていきました。
芦沢:ロボットから派生して女の子になっていたり。
野内:それで『フレームアームズ』のデザインをしていただいた柳瀬敬之さんが弊社の許可をとって同人誌を描いてくれました。
その時に友達のイラストレーターの島田フミカネさんが『フレームアームズ』を美少女化したんです。それを元に商品化されたのが『フレームアームズ・ガール』ですね。
ちなみに少しだけ商品版と同人誌版の絵は少し違う部分があるのですけれど、多くのお客さんは気づかないですね。
そのイラストを描いてもらったのは良いのですが、当時の技術ではイラストのそのままを再現できなかった。その後、『レイキャシールシリーズ』や『ホイホイさん』のプラモデルを経て、ようやく作れるようになりました。
その後、浅井真紀さんの『PSO2』の立体物と同時並行でなにかやろうという話が出たときに、「こんな絵が前あったけど今なら作れるのではないか」となって、そのまま商品化という流れになりました。
芦沢:当時はとくに反対意見もなく、商品化ができました。
Q.『フレームアームズ』や『フレームアームズ・ガール』の魅力について教えて下さい。
野内:やはりカスタマイズだと思います。まず島田フミカネさんの可愛い絵や柳瀬敬之さんのかっこいい絵というわかりやすいキャッチーな部分があるのはもちろんだと思いますが、それ以上に『M.S.G』の10年近い積み重ねがあります。
普通にプラモデルを出すだけですとそこで完結してしまいますが、10年分使えるパーツがあるのでお客さんはいくらでも組み合わせて遊べる。そこが良かったかな、とは思いますね。
芦沢:鉄砲を持たせたり、後ろに羽をつけてみたりとかそういった10年分のいろいろな種類のパーツを好きにカスタマイズできる。着せかえ人形なので、自分だけのオリジナルを作りたい、というのはあると思います。
野内:今までとの商品の違いであり、お客さんのニーズに答えられたのが良かったと思います。そこが『フレームアームズ』の魅力ですね。
Q.初心者におすすめのキットはどんなものでしょうか。
野内:弊社のオリジナルプラモデルではないですけれど『ダンボー』商品が一番組み易いと思います。『よつばと』に出てくるダンボールのキャラクターです。ほかは『M.S.G』の武器。武器だけならすぐ作れますからね。
芦沢:『フレームアームズ』自体も組みやすい方だと思います。
野内:とりあえず『ダンボー』とか『M.S.G』など触ってみて、できると思ったら好きなものを作ってもらった方がいいと思います。1回なにか作ればロボットでもガールでも作れますからね。
Q.オススメの商品は何でしょうか。
野内:『フレームアームズ』だと『白虎』です。『メタルギアソリッド』などのデザインを担当していた新川洋司さんにデザインしてもらった『フレームアームズ』です。ガールの方もデザインしてもらっていて、(ガールの方が)2018年2月に出ます。
原型師は新川洋司さんのデザインしたモノを多く立体化している堀克彦さんが手がけています。どちらも非常に遊びがいのあるので期待していてください。
芦沢:私が作ったものですが『フレームアームズ』なら『マガツキ』『ドゥルガー』『フレズヴェルク』。
『マガツキ』『ドゥルガー』は変身するし、『フレズヴェルク』は変形する、で「作った後の方が楽しいよ」というチョイスですね。作り終わって飾るだけではなく、飛行機に変形させてみたりパーツを組みかえて変身させてみたりとかという遊びもできるので2度楽しいと思います。プラモデルではありませんが『キューポッシュ』も良いできなのでオススメです。
野内:『キューポッシュ』は元々あるデザインからデフォルメ体型にデザインを描きおこしてそれをフィギュアにした弊社のシリーズです。
フィギュアなので買ってすぐ遊べる商品で、首・足・腕・肘・膝などの関節が動くので自由にポージングつけて飾ることができますね。
芦沢:ほかにオススメだと、『ヘキサギア』です。
野内:『ヘキサギア』は動物型のロボットとそれに乗る人間の組み合わせの商品ですね。
芦沢:『フレームアームズ』を作ってみるとわかると思いますけど、『アーキテクト』という素体に服をかぶせていくモノだから、腕や足が極端に長いモノというのは中々できない。
ですが、『ヘキサギア』に関してはフレームが存在しているわけではないので、各パーツやユニットを関節につなげ合わせれば手の形になる。やりようによっては長い手にも短い手にもできるし、脚部や胴体なども同じようにオリジナルで組みあげることができます。説明書どおりに作るのも1つの完成形なのですが、それで終わりではなくて、しばらく見て飽きたと思ったら外装とか取っ払って、1から全部作りなおすこともできる。
今度は「人型にしてみよう」とか、もう1体買ったら「大きいモノができるかな」みたいな、いわゆるブロックトイ的な遊びができる。『フレームアームズ』とは違った形でいろいろと遊べるのではないかと思います。